2025-11-07

Media over IP主要技術 NMOS・PTP・ST 2110 徹底解説

はじめに

放送業界では、従来のベースバンド映像伝送(SDIなど)からネットワークを用いたMedia over IPへの移行が進んでいます。Media over IPとは、映像・音声などのメディア信号をIPネットワーク上で伝送・制御する仕組みの総称です。これによりカメラやスイッチャー、録画機など放送機器同士を柔軟に接続でき、設備構成の自由度や拡張性が飛躍的に向上します。一方で、IPネットワーク上でプロ用メディアを扱うにはいくつか克服すべき課題があり、高度な技術規格が策定されています。

本記事ではMedia over IPを支える主要技術である NMOS (Networked Media Open Specifications)PTP (Precision Time Protocol)SMPTE ST 2110 について、その規格概要と原理、相互の関係、従来のSDIシステムとの比較、導入による利点、そして実装上の注意点までを網羅的に解説します。

従来のSDIシステムとIP化の背景

SDI (Serial Digital Interface) は長年放送業界で使われてきた映像・音声伝送方式で、同軸ケーブル1本で非圧縮映像と同期信号、埋め込み音声などを伝送します。例えばテレビ局では、ブラックバースト (Black Burst, BB) と呼ばれる基準同期信号をシンクジェネレーターから各機器へ同軸分配し、全機器の動作タイミングを一致させてきました。映像信号自体もSDI規格(HD-SDIや3G-SDIなど)に従って同軸ケーブルで点と点を直結します。

SDIシステムは遅延が小さく信頼性も高い一方、ケーブル配線が煩雑になりがちで、大規模システムでは巨大なマトリクススイッチャー設備が必要になるなど拡張性に限界がありました。

IP化のメリット

IP化 (Media over IP) により、映像・音声の伝送と同期を物理的に同じネットワークでまとめることが可能となり、配線の簡潔化など多くのメリットが生まれます。例えば従来は映像用と同期用で別々のケーブルが必要でしたが、IPネットワークでは単一のLANケーブルや光ファイバ上でパケット化された映像信号と同期信号を同時に運ぶことができます。

またネットワークスイッチを用いることで一対多のマルチキャスト配信が容易に実現でき、従来は分配器で実現していた「1つの映像信号を複数の機器へ供給する」ことがソフトウェア制御で柔軟に行えます。IP上では物理的な接続替えなしに経路変更や再配分が可能なため、システムの再構成に要する時間も短縮されます。

こうした背景から、2015年前後より放送のIP化を目指す標準化が進み、SMPTE ST 2110という一連の規格群が策定されました。ST 2110は、映像・音声・メタデータをIPパケットで伝送するためのプロトコル群です。同時に、IPネットワーク上でスタジオ機器間の精密な同期を取るためのプロトコルとしてPTP(高精度時刻同期プロトコル)が採用されました。

さらに、メーカーの異なる機器間で接続や制御を行うための共通仕様群としてNMOS (AMWAによるオープンなネットワークメディア仕様) が登場し、2018年前後から実案件への適用が始まっています。

SMPTE ST 2110 – IP映像伝送の標準規格

SMPTE ST 2110は、SMPTE(映画テレビ技術者協会)が策定したプロフェッショナル映像のIP伝送に関する標準規格群です。複数のサブ規格で構成されており、2017〜2018年にかけて主要部分が制定されました。

エッセンス分離による効率的伝送

ST 2110の最大の特徴は、映像・音声・補助データなど各エッセンスを分離し、個別のストリームとして同期伝送する点にあります。従来のST 2022-6ではSDI信号全体を丸ごと1つのIPストリームにカプセル化していたため、映像と音声が混在し非効率でした。

ST 2110ではこれを改善し、例えば:

  • 映像: ST 2110-20
  • 音声: ST 2110-30
  • 字幕やタイムコード等のメタデータ: ST 2110-40

というように、種類ごとに別々のIPマルチキャストストリームとして伝送します。こうすることで不要な信号を受信せずに済み、ネットワーク帯域を有効活用できます。

RTPベースのリアルタイム伝送

各ST 2110ストリームはリアルタイム伝送プロトコル (RTP) を用いてUDPパケットとして送出されます。映像や音声は時間軸に沿った連続データであるため、RTPヘッダ内のタイムスタンプによってパケット間の時刻関係が管理されています。このタイムスタンプの基準となるクロックを全機器で一致させる必要があるため、ST 2110システムではPTPによる高精度同期が必須となっています。

柔軟なルーティングとスケーラビリティ

SDIと比較して、ST 2110方式では各種信号をIPネットワーク経由で自由にルーティングできることが利点です。映像信号と音声信号を別々に扱えるため、例えば映像は放送局Aへ送りつつ音声は放送局Bのミキシング設備へ送る、といった柔軟な運用も可能です。

またマルチキャスト対応により1つの送り手(Sender)の映像を複数の受け手(Receiver)が同時に受信でき、物理的制約に縛られない仮想的な映像矩陣を構築できます。さらにST 2022-7という冗長伝送の規格にも対応しており、ネットワークを二重化して主系と予備系で同一パケットを送り、片方に障害が発生しても切れ目なく映像を維持するシームレス保護切替が可能です。

PTP – Precision Time Protocolによる高精度同期

PTP(Precision Time Protocol)は、IEEE 1588規格に基づくネットワーク時刻同期プロトコルで、日本語では「高精度時刻同期プロトコル」と呼ばれます。放送IPシステムでは特にSMPTE ST 2059として、ビデオ基準信号との整合性を保つためのPTPプロファイルが定められており、スタジオ内のすべての機器がPTPによってサブマイクロ秒(1マイクロ秒未満)レベルの精度で同期します。

従来のNTPとの違い

この精度は従来のNTP(数十ミリ秒程度の精度)と比べて桁違いに高く、映像フレームの切替タイミングを完全に一致させることや、受信機側バッファの読み書きペースを揃えて映像の乱れを防ぐことが可能になります。

PTPの動作原理

PTPの基本原理はシンプルで、基準時刻を持つ装置(グランドマスター)と各機器(スレーブ)との間で時刻情報を含むパケットをやり取りし、機器内部の時計を基準に合わせ込むものです。具体的には、スレーブ機器は定期的に受信するPTPパケットのタイムスタンプから自機の時刻との差(オフセット)を計算し、その差がゼロになるよう内部クロックの周波数や位相を微調整します。

この際、ネットワーク遅延の影響を打ち消すために送受時刻の厳密な記録が重要で、PTP対応機器ではパケットがNICを通過する瞬間をハードウェアでタイムスタンプ取得する仕組みが推奨されています。さらに、ネットワーク経路の遅延差を極力なくすためにPTP対応スイッチ(Transparent ClockやBoundary Clock機能)を用いてほぼ対称な遅延経路を実現することも高精度化のポイントです。

IP上の同期基盤

こうしたPTPによって全機器の内部時計が揃うと、共通の時刻基準に基づいて映像フレーム送出タイミングを決定することができます。例えばカメラ複数台のシャッタータイミングを同期させれば、スイッチャーでカットを切り替えても映像が途切れません。また送信と受信が同じ周波数で動作することで、受信側バッファがあふれたり枯渇したりせず安定した再生が可能となります。

言い換えれば、PTPはIP上でブラックバーストやTri-Level Syncと同等の役割を果たす同期基盤なのです。

NMOS – オープンなネットワークメディア制御仕様

NMOS (Networked Media Open Specifications) は、ネットワーク化されたメディア機器を相互接続・制御するためにAMWA(先進メディアワークフロー協会)が策定しているオープンな仕様群です。メーカーの異なる機器間での互換運用を目指したもので、RESTfulなHTTP APIとJSONデータモデルに基づき、放送機器の発見・登録、接続管理、状態監視などを行う統一インターフェースを提供します。

ベンダー間互換性の実現

NMOSを使うことで、カメラやモニターといった様々なIP機器がネットワーク上でお互いを自動認識し、共通の手順で接続設定を行えるようになります。これはつまり、システム全体を一社の専用コントローラで固めなくても済むことを意味し、ユーザは複数ベンダーの機器を自由に組み合わせて最適なシステムを構築できるという大きなメリットがあります。

主要なNMOS仕様

NMOSは用途ごとに複数のIS (Interface Specification) から構成されます。代表的なものとして:

IS-04: Discovery & Registration

IS-04はネットワーク上の機器(Node)やその中の送信器・受信器(Sender/Receiver)、信号源(Source)やフロー(Flow)といったリソース情報を登録・発見する仕組みを定めています。各機器(Node)が起動時に自らのリソース情報をレジストリサーバへ登録し、他の機器や管理ソフトウェアはレジストリに問い合わせを行って動的にシステム内の信号源一覧を取得できます。

登録される情報には映像のフォーマット(解像度やフレームレート)、音声チャンネル数、マルチキャストアドレス、PTP同期のドメインなど様々なメタデータが含まれ、これにより人手を介さず機器間の自己認識とカタログ化が実現します。

IS-05: Connection Management

IS-05は送信器と受信器の接続切替、つまり「どのSenderのストリームをどのReceiverに紐付けるか」を制御する接続管理APIです。IS-05に準拠した機器であれば、統一されたHTTPコマンドで受信先を切り替えたり、送信の開始停止を指示できます。

たとえば、あるカメラの映像SenderをスイッチャーのReceiverに接続するには、IS-05の接続APIエンドポイントに対して接続先となるSenderのIDを指定してリクエストを送ります。

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# NMOS IS-05 接続管理APIを用いたReceiverの接続先変更例
curl -X PATCH -H "Content-Type: application/json" \
-d '{ "sender_id": "<接続したいSenderのUUID>" }' \
http://nmos-controller.local/x-nmos/connection/v1.1/receivers/<ReceiverのUUID>/target

このようなAPI呼び出しにより、統合コントローラーソフトウェアはベンダーを問わずシステム内の映像ルーティングを制御できます。

NMOS・PTP・ST 2110の相互関係とシステム構成

以上見てきたST 2110(伝送面)、PTP(同期面)、NMOS(制御面)は、三位一体となってプロフェッショナル向けMedia over IPシステムの基盤を構成しています。それぞれ役割が異なるため、しばしば「データプレーン」「タイミングプレーン」「コントロールプレーン」とも表現されます。

レイヤー構造

  • インフラ層(Physical): 10GbEや25GbEなどの高速イーサネットスイッチ、ケーブル配線等の物理ネットワーク
  • ネットワーク層(Network): IPプロトコルによる通信基盤(UDPマルチキャスト、ルーティングプロトコルなど)
  • 伝送層(Transport): メディアデータのパケット伝送 – SMPTE ST 2110ファミリー(RTP/UDP/IPによる映像・音声ストリーム)
  • 同期層(Timing): システム全体の時間基準 – PTPプロトコル(IEEE 1588 / SMPTE ST 2059による時刻同期)
  • 制御層(Control): 機器管理と接続制御 – NMOS API群(IS-04/IS-05等、HTTP/JSONベースの機器制御)

このように各技術は独立した役割を持ちつつも、相互に連携することで初めて安定した運用が可能になります。たとえばPTPで同期が確立されるからこそ、各ST 2110映像ストリームは同じタイミング基準で送受信され、複数映像のスイッチングや音声とのLip-Syncが乱れません。またNMOSによる制御があることで、複雑なマルチキャストアドレスの設定や接続切替手順をユーザが意識する必要がなくなり、SDIルーターのような感覚でIPストリームを扱えます。

実際のシステム設計

実際の放送局向けシステムでは、NMOS制御やPTP同期を含めた包括的な設計推奨事項がJT-NM TR-1001-1というドキュメントにまとめられています。この中では、機器を接続すべきネットワーク構成として「制御用ネットワーク」と冗長化された「メディア伝送用ネットワーク(Main/Red & Backup/Blueの2系統)」が提示されています。

  • 制御用ネットワーク: DHCPサーバやDNSサービス、NMOSレジストリ(IS-04のRegistration & Discoveryサービス)が稼働し、機器は起動時に自動IP取得・レジストリ登録を行います
  • メディアネットワーク: ST 2110映像/音声の大容量データを流すためのネットワークで、主系と予備系の二重化(ST 2022-7対応)によって高信頼性を確保します

各メディアネットワーク上にはPTPのグランドマスタークロックが配置され、全機器が同期パケットを受信します。スイッチやルータなどネットワーク機材もPTP対応のものを用い、タイミング情報が乱れないよう配慮します。

Media over IPの利点まとめ (SDIとの比較)

1. マルチベンダー互換性とオープン技術

NMOSやST 2110といったオープン標準規格に各社が対応することで、メーカーの垣根を越えたシステム構築が可能です。特定ベンダーの専用プロトコルに依存しないためベンダーロックインが回避でき、機器選択の自由度が増します。また新規参入のメーカーでも標準に準拠すれば大規模システムへ組み込みやすく、エコシステム全体の発展につながります。

2. 柔軟でスケーラブルな信号ルーティング

IPネットワーク上では任意の入出力の組み合わせで信号接続を変更できます。物理マトリクスのポート数に縛られず、必要に応じてネットワーク帯域を増強することで大量の信号を扱えます。映像・音声を別ストリーム化したST 2110により「映像だけ差し替える」「音声だけ別系統へ送る」といった高度なルーティングも容易です。

3. 配線の簡素化と設備集約

従来は信号種類ごとに専用ケーブルが必要でしたが、IPではLANケーブル1本で複数信号をまとめて扱えるため、スタジオ内の配線本数が劇的に減ります。またネットワークスイッチ1台で多数の接続を中継でき、巨大なSDIルーター装置の代替となります。

4. 遠隔制作・リソース共有の容易さ

IPネットワーク経由で映像伝送できるため、離れた拠点間での信号やり取りが容易になります。これによりリモートプロダクション(例:試合会場にカメラだけ設置し、映像を本社スタジオでスイッチング)や、複数施設間での機材リソースの共有運用が可能となります。

5. 高信頼性・冗長化

IP伝送ではST 2022-7による二重化や、PTPグランドマスターの冗長構成など、IT分野で成熟した手法を用いてシステムの信頼性を高められます。片系統の故障時も映像が途切れないシームレス保護切替や、ネットワーク経路の冗長ルーティングにより、放送システムとして求められる24/7の高可用性を維持できます。

6. 汎用ハードウェアの活用とコスト効率

IPシステムは基本的に汎用イーサネット機器上で動作するため、スイッチやサーバなど市販品を流用できます。大規模SDIマトリクスに比べ初期費用を抑えやすく、また機能追加もソフトウェアアップデートで柔軟に行えます。小型コンピュータ上でST 2110送受信が実現できる例も登場しており(例えばRaspberry PiでHD映像を送出する実証)、低コストでのシステム構築も可能になりつつあります。

Media over IP実装上の課題と注意点

IP化には多大なメリットがありますが、実装の際には従来と異なる考慮が必要な点も多々あります。

1. マルチキャストネットワーク設計

ST 2110のストリームは通常、送り手(Sender)からネットワーク上のマルチキャストアドレスへ送出され、受け手(Receiver)がIGMP参加(join)することで受信します。スイッチがIGMPスヌーピングに対応していない場合、全てのポートにマルチキャストがフラッディングされてしまい帯域を圧迫するため、IGMPによる受信管理は必須と言えます。

大規模構成でルータをまたぐ場合は、PIM (Protocol Independent Multicast) 等のマルチキャストルーティングプロトコルを導入し、不要なセグメントにトラフィックが流れないようにします。

2. PTP同期の安定確保

PTPは高精度ゆえに微妙な遅延差にも影響を受けます。ネットワーク機器にはPTP対応(Transparent ClockやBoundary Clock機能)が推奨され、スイッチ内部での遅延を補正・分散できるようにします。特に階層の深いネットワークでは境界クロックによりセグメントごとに再同期するのが有効です。

PTPのグランドマスタークロックはGPSや高精度クロックで自律運転できる専用機器が用いられ、バックアップとして複数台を冗長化することもあります。PTPロック状態の監視、スレーブ側のオフセット値モニタリングを行い、異常検知時は予備クロックに切り替えるなどの運用対応も求められます。

3. トラフィックシェーピングと遅延

映像ストリーム送出時には、送信タイミングを適切にシェーピング(滑らかに均一化)することが重要です。例えばカメラから1フレーム分のデータが一度に大量送信されるとスイッチの一時バッファを溢れさせパケットロスを招きます。

SMPTE ST 2110-21では送信側デバイスの許容バースト量等を規定し、1フレームデータを複数回に分散して送る仕組みを定めています。受信側も一定のジッターバッファを設けて到着時間のばらつきを吸収しますが、バッファを増やしすぎると遅延が増えるためトレードオフとなります。

4. 互換性と標準遵守の確認

Media over IPは複数の規格の組み合わせから成るため、機器ごとの標準適合性を十分確認する必要があります。導入時にはベンダーを跨いだ包括的なテスト(映像・音声のエンドツーエンド接続確認、フェイルオーバー試験、長時間運用テストなど)を実施し、規格準拠動作と相互運用性に問題がないことを検証するのが望ましいでしょう。

5. 人材と運用スキルのギャップ

SDI中心の設備からIP化された設備への移行に際しては、求められる知識スキルの領域も拡大します。ネットワークのIPアドレス設計、マルチキャストの挙動、PTPパラメータの調整、NMOSのAPI理解など、IT寄りの専門知識が放送エンジニアにも必要になります。

社内での教育や専門人材の確保、ベンダーのサポート活用が重要です。またトラブルシューティングの手法も変化し、従来の波形モニタやケーブルテスタに加え、パケットキャプチャ解析ツールやPTPモニタ装置などが新たな道具となります。

まとめ

本記事では、放送におけるMedia over IPの主要技術要素であるST 2110(メディア伝送)、PTP(時間同期)、NMOS(機器制御)について、その仕組みと役割、相互関係を詳しく解説しました。

従来のSDIシステムと比べて、Media over IPは配線の簡素化や柔軟なルーティング、多地点展開など多くの利点をもたらす一方、高度な同期やネットワーク制御の技術が必要となります。それらを実現するのがST 2110ファミリー、PTPプロトコル、NMOS仕様群であり、この三者が揃って初めて放送品質のIPシステムが成り立ちます。

ST 2110は映像・音声・データを分離しIP化することで、放送信号伝送のあり方を大きく変革しました。PTPはスタジオ内のすべての機器に共通の時計を与え、IPネットワーク上であってもフレーム単位で同期を取る土台を築きました。NMOSは異なるメーカー機器間の自動発見・接続を可能にし、オープンで統一された制御プレーンを提供しました。

現在、放送局設備のIP化は移行期にあり、SDIとIPのハイブリッド運用も一般的です。しかし業界全体の流れとしては着実にMedia over IPへのシフトが進んでおり、新規設備はST 2110対応が当たり前になりつつあります。規格や技術も継続的に改良・拡張されており、今後はプロAV分野への波及(例:IPMX規格)やクラウド上での活用など、適用範囲も広がっていくでしょう。

放送技術者にとって、NMOS・PTP・ST 2110の理解はもはや避けて通れない必須知識と言えます。本記事がこれら技術の全体像を把握する一助となれば幸いです。新しいIP時代に対応した知見を深め、より柔軟で強固な放送システム構築に役立ててください。